英語論文・レポートの書き方

英語論文・レポートの書き方 上村妙子・大井恭子 研究社

この本,英語論文を書くために参考にしようとして買ったのですが,論文を書くための技術以外のところの読み物がかなり面白くておすすめです.

例えば,ヨーロッパの歴史と英語の語源に関する説明や,例文として取り上げられている,海外から見た日本の文化に関する比較文化論の話とか,日本語と英語の橋渡しをするための背景知識がたくさん身につきます.これは,語学を専門に研究していないとなかなか知る機会のない内容ばかりだと思うので,あまり深く追いすぎず,ざっと俯瞰できるという意味で,貴重な本だと思います.

もともとゲルマン系の英語の中にはラテン系のフランス語由来の単語が30%も含まれているのは,ノルマン人のブリテン島征服に由来するという話も,初めて知りました.

スイスに滞在していたときから,言語の由来とか言語間の関係性について,かなり雑然と思いを巡らしていたのですが,今回読んでみて,今まで不明だった疑問点が氷解しました.面白いです.

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まねきTV

「まねきTV」訴訟、最高裁が違法判断 知財高裁に差し戻し

最高裁も変な判決を下したものだと思います.

「機器を預かっているだけで、番組を転送しているのはあくまで利用者。1つの機器は1人の利用者にしか送信しておらず、不特定の人への送信に当たらない」

これ,言い訳でも何でもなく,誰が考えても正当な事実説明です.否定のしようがないでしょう.これを否定しようとする側の方が,へりくつをこねることになると思います.

それ以前に,日本のテレビ局は頭が固いというか,考えが古いというか,何を守っているか,自分たちでもよくわかっていないんじゃないかと思います.別に番組の内容を改変して,たとえばCMをスキップして転送しているわけでもないわけです.スポンサーにとっては視聴者が増えるわけですから,嬉しいわけです.

お金を取って転送をしているから,営利目的の行為であり,コンテンツのただ乗りだから許せない!とか言うのもどうかと...テレビ放送を営利目的に利用してはいけないというのなら,もっと他に責めるべきところがあるはずです.集客目的でテレビを設置している定食屋さんが昔はいっぱいあったでしょうし,今は,サッカーのワールドカップの時にパブリックビューイング的にバーがテレビ放送を利用しています.ラジオ放送を流しているラーメン屋さんだってあるでしょう.これは,なんでOKなの?と言いたくなります.

わざわざお金を払って転送してもらっているのは,主に海外に居住している日本人です.なぜだか知りませんが,日本のテレビ局が海外へのインターネット経由のコンテンツ配信を許していないから,日本の放送を見られないという理由で,わざわざこういうサービスを利用しているのです.スイスみたいに,はじめっから放送局がインターネットのサイマル放送を許諾していれば,ただ乗りだ!などと責める対象も存在し得ないのです.大して質の高くない日本のテレビコンテンツを,苦労してわざわざ視聴している奇特な人たちをないがしろにする理由は何なのでしょうか.海外居住者に観てもらった方が視聴率が上がるのに,アホかと思います.

海外放送を禁止したって,日本のアニメに勝手に字幕をつけてインターネット上で違法に配信する海外ユーザは減らないのです.現に日本のアニメはたとえばヨーロッパでは,各国の字幕をつけて翌日には公開されているのです.今ある利益を守ることにばかり目がいって,オープンにすることで得られる利益を逃しているように思えてなりません.

ほんと,日本のメディアは視野が狭いと思います.ていうか,自分たちの視野が狭いということにすら気づけていないのだと思います.

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総括

今年も一年ありがとうございました。

ローザンヌにいたことはすっかり昔の出来事のように思えます。短い留学期間でしたが、滞在前と後では、良い意味で少し人間が変化したように感じます。研究者としての姿勢にしても、一人の人間としても。

研究者としては、少し辛抱強く考える癖がついたように感じます。新しいことにすぐ目を向けてしまい、いろいろとつまみ食いをする、浅く広く型の人間だったのものが、少しだけ、深く狭く型の人間に変化した気がします。腰を据えて物事を考える落ち着きが身につきました。年齢のせいかもしれませんが。

人間としては、昔よりも人見知りが減った気がします。誰とでも話がしやすくなった気がします。気持ちに落ち着きが持てるようになったのだと思います。これも年齢のせいかもしれませんね。

留学中の生活は、毎日を地道に生きていただけですが、日本にいたときよりは常にプレッシャーがかかっていたように感じます。途中からは慣れてしまって、どうとも感じていませんでしたが、それなりに精神的には影響があったのでしょう。

まあ、一年を総括するなら、基礎体力を充実させるためのエネルギー充電の一年だったという感じがします。来年は蓄えられたエネルギーを活用して飛躍の一年としたいと思います。

来年もどうぞよろしくお願いします。

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kindle

いわゆる電子ブックですけれど、これは便利です。今は洋書しか読めないので、日本人で使っている人は限られていると思いますが、日本語に対応したらあっという間に普及するのではないかと思います。

無料の3Gネットワークでいつでもどこでも本が買えるし、重い本を何冊も持ち歩かなくても良くなるのです。

例えば日本で売っている洋書の翻訳版は沢山ありますが、その原著タイトルを店頭でチェックしてkindleに入力すると次々と検索できます。おまけに、日本語の単行本の半額ぐらいです。

日本での評判を見て、その原著をkindleで買う。

今や書店は売れ筋の本をチェックするだけの空間になってしまいました。

本屋は好きなんです、今世の中に流れている情報の渦に自分が入り込むことができるように感じるからです。

しかし、情報を紙に印刷することで流通させる出版業という存在は、昔のものになりつつあるという認識は間違いないでしょう。

今私が本屋で感じている情報への没入感は、将来はきっと他のメディア、例えば仮想現実空間のような場所で実現されるようになるのかもしれません。

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賃貸のデポジット

今日になってやっとローザンヌの不動産屋から賃貸のデポジットを返金する旨の連絡がありました。まあ、賃貸契約自体は9月末までだったので、9月中には返ってくることがないと思っていたので、まあ、予定通り。

携帯電話の料金とかはインターネットバンキングで大体払ったし、あとは電気料金の支払いがあるかもしれないという状況です。それが終われば最終的にUBSの銀行口座は解約できます。

しかし、2ヶ月前のこととはいえ、スイスにいたことがとても遠い昔の出来事のように思えます。

それにしても、日本の生活は本当に忙しいです。仕事以外のものを考える気分的な余裕がないし、それがこのブログの更新頻度の少なさにもなっているように感じます。

日本の生活のこの切羽詰まり感は、自分だけではないように思いますが、もう少しのんびりと生活できないものでしょうか。

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