スカッシュ

今日は,仕事の後,研究室のPhD studentに連れられて,スカッシュをしてきました.

完全文化系人間の僕にスカッシュなんてスポーツできるのかいな,と内心ドキドキしていましたが,昔々,大学時代にやっていたソフトテニスとフィーリングが似ていて,結構プレー出来ました.

2人で行ってきたので,借りた45分間ずっとプレーしっ放し.意外と運動量が多いので(下手だと特に)さすがに,普段運動不足の僕は途中で息が切れましたが,ほぼ休憩なしでやってました.

僕は今回初めてスカッシュをしたのですが,結構面白いですね(相手が楽しめた保証はありませんが).2人で壁に囲まれたフィールドに入って,壁に向き合って交互にボールを壁に向かって打ち合うことで点数を競うゲームです.とにかく床に2バウンドする前に打ち返せば,どんなに壁に跳ね返ってもいいという感じのルールです.

ボールが予想以上に跳ね返らないので,壁に結構なスピードで打ち込んでも,戻ってくるときにはだいぶスピードが落ちており,打ち返すのは結構楽です.ただ,ボールが冷えているときには,さらに弾まないので,ボールの軌道の感覚に慣れるのが結構大変です.ボールが暖まってくれば,かなりプレーしやすくなります.

というわけで,初体験のスカッシュで気分もスッキリしました.やっぱり程よいスポーツはいいもんだなと思いました.

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オメガ,ロラン,デッカ

これらの名称を見て意味が分かる人はごく限られていると思いますが,マイミクの中にはいるでしょうか.船に乗る人とかなら,知っているでしょうか.どれも,双曲線航法に使う無線システムの名前です.

GPSが整備される前に主に使われていたもので,3カ所の無線局からの電波の時差を利用して自分の位置を知るというものです.

双曲線とは,焦点からの距離の差が一定の線なので,2つの無線局からの時差が分かれば地図上に双曲線が一本引け,さらにもう一つの情報を加えると2本の双曲線が引けるので,その交点が現在位置になるという仕掛けです.

で,カバーする範囲が大きいものほど波長の長い電波を使っていて,オメガが一番大きく,地球上に8局の電波塔を建てて,世界中をカバーしていました.日本にも対馬にオメガ塔(455メートル!)というのが建っていたんですね.

さらに,ロランになるとカバーする範囲はもう少し狭くなりますが,日本では4局管理されていて,伊豆諸島の新島,沖縄の慶佐次,南鳥島,そして北海道の十勝太に電波塔がありました.

なんといってもすごいのは,電波塔の一つが南鳥島に建っていたということです.この航法システムを維持するためだけに,絶海の孤島に海上保安庁の職員を送り込み,維持管理をしてきた(かつてはUS Coast Guardの管理下だったらしい)のですから.

でも,そんな南鳥島ロランC局も,今年の12月で閉局だそうです.

GPSが高精度で民間に開放されるようになって,維持管理にかかるコストに見合う価値が見出せなくなったのでしょう.

ちなみに,北海道にあったデッカチェーンは(ロランよりさらに狭い範囲をカバー)2001年に早々と解体されています.

僕が灯台マニアだから,こんな電波の灯台に食いついてしまうのか...

多分そうでしょう.

かつての灯台守のように,その施設に人が常駐して維持管理を担当するなどという,前時代的な事が今でも行われているというだけで,ノスタルジックさが醸し出され,レア物好きの僕にはたまらないお話です.

それも,民間人は上陸できず,気象庁,海上保安庁,海上自衛隊の職員が週一便の補給を頼りに勤務しているという日本最東端の島,南鳥島にそんなレアな施設があるというだけで,大興奮です.

レア物好きという点では,もちろん沖ノ鳥島のうんちく話も大好きです.あんな島(岩)に,夜たった一人取でり残されたら一体どんな気分なんだろうとか想像するだけで心拍数が上がります.星空は綺麗なんだろうなぁとか,波の音しか聞こえなくて怖いだろうなぁとか,台風が来たらどっかに飛ばされちゃうだろうなぁとか...

今日は色々話が飛びますが,廃れゆく技術といえば,スペースシャトルとももうすぐお別れですね.コンコルドもいなくなっちゃったし,最近は,効率化や経済性を重視するあまり,かつてのような尖った技術は失われてきているように感じます.

現在の技術には目もくれず,若干古くなって使われなくなりつつある技術に目を向けてしまうのは何故なんでしょうか.真空管が好きなのも,恐らく同じ理由です.

ま,僕がマニアックな人間だということはわかります.

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羽のない扇風機

dyson エアーマルチプライヤー AM01エアーマルチプライヤー25cm サテンブルー AM01 25 IB
dyson エアーマルチプライヤー

アイディアがとても面白いと思いました.本来羽があるべき所に羽がなくて,単なる筒になっているという,意表を突いたデザインが最高です.

常識を覆した発想をそのまま商品にしてしまった,ダイソンさんの気概に乾杯.

で,吸い込んだ空気の15倍の風量があるということが宣伝文句になっています.

しかし,風量を確保するためのエネルギーが湧いて出てくるわけではなく,当然エネルギーは保存するわけですから,風量を生み出す分の電気エネルギーはどこかで消費しているわけです.

要は吸い込んだ少ない空気を思いっきり圧縮して,圧力としてエネルギーを充填し,ノズルから噴出するときに,圧力を下げると同時に空気の運動エネルギーに変換しているというわけです.いわゆるベルヌーイの定理です.大学の流体力学で習いました.トリックを知ってしまえば,ああ,そういうことですかって感じ.

で,ノズルの形状によって圧力をどんな流体の運動に変換するかが決まるわけです.単にスリットから圧縮空気を吹き出しただけじゃ局所的な気流しか生み出せないので,あの円筒があるわけです.

内側は飛行機の羽を円形につなげたようなものになっているそうですが,要は,内側のスリットから圧縮空気を吹き出すと流速の早い円筒の中心の気圧が低くなるので,そこに向かって周囲の空気が流れ込んで,スリットから吹き出る局所的な空気の流れを,円筒形の大きな体積の空気の流れに変換することができるわけです.さらに,内壁に飛行機の羽みたいに傾斜がついているのは,円筒状の空気の流れに関して,圧力をより効果的に流速に変換するための仕掛けです.

しかし,大きなかごの中で数枚の羽をクルクル回す扇風機よりは,小さな円筒の中でファンを回転させた方がエネルギー効率が良かったりするのでしょうか?最終的なエネルギー効率がどうなっているのかが気になります.

一方で,表に出ていた大きな羽根車を,土台の中の小さなファンとして埋め込んだのはデザイン的には非常に発想がいいと思うのですが,羽の径を犠牲にしたということは,回転数で補わなければいけないということになるはずです.

だから,この扇風機,きっとドライヤーみたいな音がするはずです.扇風機は羽根車の径が大きいから,ゆっくり静かに回しても風量を確保することができるわけですから.よく飲食店とかで,天井についている扇風機がいい例です.

あと,小さなスリットから圧縮空気を吹き出すということは,スプレーみたいにシューっていう音がしてしまうはずなのですが...

きっと,就寝中はうるさくて使えないんじゃないかなぁ,と思います.

僕はてっきり,イオンエンジンとか,電子レンジの原理みたいに,今までとは全く違う方法で電気エネルギーをダイレクトに粒子の運動エネルギーに変換しているのかと思ったのですが,意外とシンプルな話でした.

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しみじみカレー

今日は,日本から持ってきた貴重な固形ルーを使ってカレーを作ることにしました.野菜も肉もクオリティの高いものが買えるのはいいのですが,いかんせん日本製のような便利なカレールーが売ってないんですよね.この固形カレーは本当に素晴らしい発明だと思います.

さて,カレーといえば大雑把に言って,野菜と肉を炒めてアクを取って,ルーを入れて煮込むだけのお手軽メニュー.一回作ってしまえばしばらく楽しめるし,だんだんと煮込んで美味しくなっていくのが嬉しく,お気に入り料理のひとつです.

で,今回カレーを作ってみて思ったこと.

スイスの野菜はワイルドです.例えばタマネギ切っていて,目がしみるというのは誰でも知っている現象ですが,僕の場合,日本でタマネギを切っていてもそんなに目にしみないなぁと思っていました.眼鏡をかけているからだろうかと思っていたのですが,どうやら違うようです.

スイスのネギ系は非常に目にしみます.タマネギの茶色の皮を剥いているだけで,作業の続行が不可能になるぐらいしみるのです.今回はカレーだったので一口大に切るだけでしたが,みじん切りにした日には大変なことになりそうです.

ちなみに,普通の細長いネギもかなりしみます.例えば,みじん切りにしてラーメンに入れると,ラーメンを食べようとしてどんぶりに顔を近づけると涙が止まらなくなります.最初は驚きました.そして,こっちのネギはやたらと葉っぱの割合が多く,日本みたいに白い部分がほとんどありません.僕は葉っぱより白い部分の方が好きなので,残念です.

なんというか,全ての植物が原種に近いんだと思います.日本のタマネギも以前はもっとしみたように感じますが,気づかない間に品種改良が進んでいたんだろうと思います.煮込んでもアクがほとんど出なかったりするし.ここでは,レタスなんかも日本のように食感の良いレタスはほとんどなくて,どれも歯ごたえのある成長しきったような葉っぱばかりです.

というわけで,スイスの野菜および果物は,どれも自然の味がします.特に,トマトは絶対にヨーロッパの方が美味しいと断言できます.日本のトマトは水っぽくて,なぜか香りがあまりしないのです.

というわけで,今日のカレーは普通のカレーのはずなのに,久々に感動の味でした.

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public defence

う~む,defenceはdefenseと書いてもいいのか...僕にとってsとcは常に悩みの種なのですが,この単語は混乱に拍車をかけてくれますね.

scienceとかsinceとかsceneとかinnocenceとかimmenseとかpatienceとか,色々例はありますが,英語では単語によって同じ音なのにsだったりcだったりするので,僕はいつもふと考えてしまうのです.

まあ,そんなことはどうでもよく,今日は研究室の博士課程の学生のpublic defenceが行われました.これは,欧米でも珍しいスイスの大学独自の行事らしいのですが,博士課程を修了した学生が,研究室の教授はもちろん,昔の友人や家族を学校に招いて研究発表を行い,最終的に学位を授与されるというイベントなのです.

ちなみに,public defenceの前にはprivate defenceというのがすでに行われていて,その研究分野で著名な教授陣を招き,プレゼンをし,評価をもらうというイベントが終了しています.なので,まあ,public defenceはセレモニー的な意味合いが強いのですが,発表の後には研究室から学位を授与される学生に対して出し物があったり,お酒と共に軽食が振る舞われるレセプションがあったりと,結構大きなイベントが催されます.

準備する人達は大変だと思いますが,研究室全員で学位授与をお祝いするというのは,とてもアットホームな雰囲気でいいものだと思いました.

その後は,2次会が行われ,ローザンヌのダウンタウンのバーでさらにお酒を飲みました.

別れ間際には,お互いに頬を3度くっつけるスイス流の挨拶も初めて経験しました.男女問わずこの挨拶をするという風習は,なかなか無いものだと思います.参加者の一人は,挨拶でキスを3回もやるスイスの風習はtoo muchだなんて言っていましたが,面白い経験ができて良かったです.

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