外交下手の日本

尖閣諸島の領有権問題に関連して、中国人の漁船の乗組員を逮捕し、解放したという出来事がありました。結局、日本の外交に信念が無いということをさらけ出しただけの事件になりました。

まず、日本が世界に対してメッセージを発信できていないことに、全ての問題があります。外国籍の人間を逮捕し、国内法で裁く、という重大な決断をしたからには、相当の信念があったはずです。その考えが何であったのか、さっぱりわからないまま、全員の釈放となりました。何か不思議な事件が起こったときには、まず皆、それぞれの言い分に耳を傾けるものです。したがって、その重要なタイミングで求めている情報を耳に入れられなければ、皆、非常に不満に思ってしまいます。こういう、人間の行動学に基づく、最も基本的な対応の出来ない政府は、無能だと思います。

もし、自らの行動に正当性があると考えるなら、その正当性を証明するためのメッセージを発信しなければなりません。日本政府はまず、漁船の拿捕に至った経緯を当時の詳細な経過報告と共に、発表するべきでした。中国もビデオの公開を求めていたぐらいですから、事件が起きたときに録画した映像を世界のメディアに公開するべきでした。

しかし、何を言っていいかわからなくなった自らの体たらくを隠すために、「大人の対応」と称して、時間稼ぎをした日本政府の無能さを見透かされ、結局は、声の大きい中国政府のメッセージの方が世界に響いてしまいました。まるで、日本が悪いことをしているかのような印象を残しかねない状況になってしまいました。

日本政府は何を恐れているのでしょうか、自らの立場を正当化するために声明を発表するという行為は、欧米では当然の行動です。自らをディフェンスすると表現します。こんな初歩的な行動を取れない日本政府は、頭が悪いか、腰抜けだと思われます。

こういう外交問題は、リーダーシップをアピールするための格好の機会なのです。普通の政治家なら、支持率アップのために、我先にとメッセージを発信するでしょう。しかし、このようなチャンスをみすみす逃した現政府は、可哀想な人達だと思います。支持率が下落して、また政治に混乱が訪れてしまうでしょう。

政治家は皆、異文化の中でもまれ、議論した経験が無いのだと思います。日本文化の中で温々と生きてきた人達なのだと思います。今までは周りが同じ日本民族だったからよかったかも知れませんが、ひとたび海を渡ったら全く異なる文化だということが、頭ではわかっていたとしても、経験から実感として理解できていないのだと思います。日本人同士には通用する甘えを、無意識のうちに外国にも受け入れてもらえると勘違いしているのだと思います。

カテゴリー: 政治, 文化 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

*