
僕は普段,移動中はiPod使ってますが(あ,Network Walkmanもモチロン持ってますよ),家では,やっぱり据え置き型のオーディオを使っています.
それも,真空管アンプだったりします.
何でそんな古風なモノが好きなのかと問われれば,まあ,端的に言っちゃえば,単に変わったものを所有するのが好きなマニアなんですっていうことなんですが,実利的な真空管アンプの良さとは,アコースティックな音色がつややかに再現できるってことだと思います.
なので,僕のようにクラシックのCDばっかり聞く人間にとっては,うってつけなのです.特に,古いヴァイオリンが奏でるような音色の再現には,真空管アンプの出力する音質がとても合っているように感じます.
そんなこんなで,一緒に使っているCDプレイヤーもアナログ回路に真空管の増幅回路を使っているようなシロモノです.
いろんなメーカーの真空管を差し替えて,音の聞き比べをしたりするのも楽しいし,古い,レアな,いい音のする真空管を集めるのも楽しいのです.あ,この辺は楽器選びにも通じるところがありますね.
それに,やさしくオレンジ色に光る真空管が視覚的に機能していることを訴えかけてくれるところも,機械好きアナログ人間としてはたまりません.
しかし,夏は電源を入れっぱなしにすると部屋の気温がどんどん上昇してきます.
まあ,真空管は加熱してなんぼのデバイスなので,仕方ないんですけど,消費電力が大きくて効率は悪いわ,ちゃんとした音を鳴らすまで余熱が20分ぐらいはかかるわで,最近のエコロジーブームには完全に逆行しています.
環境負荷が高いという点では,石油の高いこの時代に,僕がいまだに燃費の悪いターボ車に乗っているのも同じです.
でも,不思議なもので,個人的には,効率を向上させ,無駄なものを省き,どんどん機能を洗練させていけばいくほど,個性が失われ,面白みがなくなってしまうような気がします.
まあ,無駄が多くて発展途上ものだからこそ,一般には普及せず,必然的に個性的になるとも言えるのですが,洗練されすぎていない発展途上のものには,それを作り上げた人間の描いた理想を追求する思いと,それを実現するための思考過程が目に見える形で残されているような気がして,僕にしてみれば,その素朴さに対して,愛着がわいてしまいます.
例え無駄なこと,手間がかかるようなこと,多少お金がかかるようなことがあったとしても,何かの光る特徴(理想を追求する思いの片鱗)が一つでもあれば,マニアとしては所有する喜びを十分に満たしてくれます.
無駄なエネルギー消費を抑え,効率よく機能を満たすことは必要な方向だと思いますが,効率を考えるが故に,必要以上の機能の追求を止め,ある水準で妥協してしまうことがあるとすれば,それはとても残念なことだと思います.