研究職な理由

仕事でも研究でも、何かを作り上げている途中の段階、できるのかできないのか分からないけどとにかくやってみる、という初期のプロセスを少人数で進めていく段階がとても面白いと僕は感じます。

いったん何かができるという見通しが立ち、大きなプロジェクトを立ち上げて大勢の人数で一斉に動き出すという段階になってしまうと、必然的に大きな慣性力がはたらき、おいそれと方向転換ができなくなったり、個人の意見が言いにくくなったり、惰性で仕事をしてしまうという、何となくネガティブな側面を僕は感じるからです。

大きな人数で動いているときには、失敗も許されません。個人の失敗が全体の動きを止めてしまうリスクがあるからです。そうなると、作業を分担する個々は自分の仕事を安全方向に振り、堅実にこなしていくという傾向が生まれてくると思います。その結果、あまり野心的な試みをする余裕が無くなり、仕事の中にクリエイティブさを発揮できなくなるのではないかと思います。

明確なゴールがきまっている、ゴールへの見通しが立っているという仕事、例えばロケットを打ち上げる、みたいなプロジェクトでは、全員が一丸となることで大きな力となり、大人数でやる醍醐味が発揮され、これはこれで非常にやりがいがあり、達成感も大きいものだと思います。

でも、明確なゴールが見えにくく、それぞれの人が違ったイメージを持ってしまう可能性があるような仕事の場合には、これを大人数でやるということは、非常に危険だと思います。空中分解してしまう可能性があるからです。

だから、僕は現在の、まだ始まったばかりで、様々な可能性があり、創造的な研究という仕事をこぢんまりとした組織で推進できていることを嬉しく思っています。

こんな気持ちでいるから、僕は確立された技術を応用する仕事というよりは、まだ解明が進んでいない、分析が進んでいない分野で技術を確立することに興味があり、研究職という仕事を選んでいるのだと思います。

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